韓国の新しい家族関係登録制度
1.戸籍制度の廃止と家族関係登録制度の新設
(1)2005年、憲法裁判所の憲法不合致決定及び民法改正により戸主制廃止
不平等規定を撤廃し、個人の尊厳、両性の本質的平等、個人情報保護を具現化
(2)2007年4月27日、戸主制廃止により「家族関係登録等に関する法律」を制定
2007年5月17日公布、2008年1月1日施行
2.家族関係登録制度の内容
(1)戸主中心の家単位による戸籍編製から国民個人別、登録基準地による家族関係登録編製へ(2)本籍概念の廃止と登録基準地概念の導入
家族が同一な登録基準地を持つ必要なし、個々人の自由裁量により変更可能
(3)電算化環境に合わせた家族関係登録簿導入
電算システムに個人別身分事項を入力、本人以外の関連情報は必要時に連結情報で抽出
(4)5種類の家族関係記録事項証明書発行(第15条)
本人以外の個人情報公開を最小化
3.家族関係登録制度における5種類の証明書
(1)共通記載事項:本人の登録基準地、姓名、性別、本家、出生年月日、住民登録番号
(2)個別記載事項
家族関係証明書:両親、配偶者、子供の身分事項、記載範囲は3代に限定
基本証明書:本人の出生、死亡、改名等の身分事項(婚姻、養子縁組可否別除く)
婚姻関係証明書:配偶者身分事項、婚姻・離婚に関する事項
養子縁組関係証明書:養父母又は養子身分事項、養子縁組・離縁に関する事項
親養子縁組関係証明書:実父母・養父母又は親養子身分事項、養子縁組・離縁に関する事項
(3)証明書交付請求権者と交付事由の制限(個人情報保護と公示機能保障の調和)
発行権者を本人・配偶者・直系血族・兄弟姉妹・その代理人に限定
親養子入養(養子縁組)証明については、未成年者である本人の発行請求も制限
4.2008年以降の家族制度
(1)戸主制廃止
(2)父性主義原則を修正、母の姓と本家に従える(民法第781条第1項)
子供の姓と本家は父に従うことが原則
婚姻当事者が婚姻届出時に子供の姓と本家を母の姓と本家に従うことで協議した場合、母の姓と本家に従える
(3)姓変更制度施行(民法第781条第6項)
子供の福利のために父又は母の請求で法院(裁判所)の許可をもらい子供の姓と本家の変更可能
(4)親養子制度施行(民法第908条の2から第908条の8まで)
満15歳未満の者について家庭法院の親養子裁判を受け嫡出子関係を認めてもらう制度
親養子は婚姻中の出生者であるので、実父母との親族関係が全部消滅
養子縁組制度とは違い、姓と本家の変更が可能、裁判上離縁のみ許可
【参考資料】
2008年11月29日、国際業務研究会・第3回実務者研修会レジュメ
行政書士 崔聖植先生、「韓国親族法改正と家族関係登録制度」